2016/10/03

グライダートレーラーヒッチ取り付けの注意点



フォルクスワーゲン純正ヒッチ 格納式
グライダーとは本来、個人スポーツです。基本的には自己完結して動くことが求められます。機体を組み立てることができる、トレーラーを運行する、なども一人で出来ることが求められます。我々の世代の社会人パイロットの最初の頃の目標は、まずはなんらか自分で飛べるグライダーを入手し、そのためにはトレーラーヒッチ付きの車を持つことでした。学生時代はそのための準備と位置づけ、機体の分解組立は出来るようにしておく、トレーラー運行も一人で出来るようにしておけば、卒業後に役立つというよこしまな気持ちでトレーラードライバーに立候補して運航ノウハウを身につけました。

学生クラブの分業システムは大量のパイロットを育成する上で有効なシステムですが、システムとして分業ができあがりすぎる部分があり、上記のようなグライダーパイロットとして大切な自立したパイロットを育てる部分について、欠けている部分があります。この文章を読んでいる若い学生パイロットの方で、将来優れたグライダーパイロットになりたいと思う人は、このような環境においてもいかに自立したパイロットになるかを考えて行動するべきで、機体の分解組立、トレーラーオペレーションは人任せにして飛ぶだけでは無く、積極的に取得しておくべき技量の一つです。

当然社会人になってから、車を選択する際にも、まずはトレーラーヒッチが取り付け出来るかが車選びの前提条件になります。(昔でしたらパジェロやハイラックスサーフはボルトオンでヒッチ取付が出来ました)

今でしたら Google で車種と「ヒッチメンバー」と検索すればいくらでも取付業者と費用は出てきます。



関東で利用されている代表的なヒッチメンバー取り扱い業者

・ニューオーイーエムサプライ
 私はここに今まではお願いしていました。
 場所は三郷、取付は朝車輌を持ち込みして一日で完了します。
 例えばスバル車についてはこんな感じでラインナップをそろえてくれています。
 本体 6-8万、取付1-2万、配線1-2万円くらいでしょうか。

Witter社のヒッチ レガシーアウトバック
・ボートプラザ
 ここか国産ヒッチもあつかっています、例えばスバル車で比較するとこんな感じです。
 1t以下の牽引重量の物のあるので要注意です。


自信があれば自前で海外からヒッチメンバーを取り寄せ、図面は付いてくるのでそれをもとに取り付けることも可能です。穴加工が必要な場合があるので、融通の利く修理工場の方がよいかもしれません。

スバル純正ヒッチメンバー


ヒッチメンバー取付時の注意点

メルセデスの純正ヒッチ。使わないときはしまえます。

・牽引重量
 Cobraトレーラーの場合、単座エンジン無しグライダーでは搭載状態で約 750kg、複座エンジン付きグライダーですと、トレーラー搭載状態で約 1.5t になります。(Cobra 社ページ)上記重量に対応出来るヒッチメンバーが必要になります。
 ヨーロッパ製は大抵 1.5t 以上の者が多いです。以前レガシーで利用していたアメリカ製(Draw Tite社)のヒッチメンバーは 1t までのもので、つかっているうちに溶接にクラックが入りましたので溶接し直しました。その後信頼出来る Brink社のものに交換しています。国産もジェットスキートレーラー用は重量が軽い物があるので要注意です。


・ヒッチボールサイズ
  アメリカは 2 inch のボールサイズですが、ヨーロッパは 50mm になります。
 微妙なサイズ差ですがつながりませんので発注の際に間違えないように。


・電極 7ピンヨーロッパタイプ
 国によって異なりますが、グライダーで一般的なのはヨーロッパ7ピンタイプ。最近は13ピンもでてきていますので注意。変換コネクターを入手しましょう。
 配線図はググれば出てきます。灯火が着かないときは配線をテスターでチェックしてみましょう



運転の注意点

・速度を出しすぎると自励振動に入り、トレーラーが左右に揺れ始めます。一度揺れ始めるととまりません。エンジンブレーキでゆっくりと減速するしかありません。100km/h 前後から振動が始まりますので、国内高速道路は法定速度の80km/h を上限に走るべきです。山道の高速道路では下り坂で気がつかずに速度が出てしまいます(私も以前韮崎へ毎春陸送していた頃は笹目トンネルを抜けて、勝沼の坂を下るときがもっとも神経を使うときでした)。知っているだけで過去20年に4件の大学航空部でトレーラーを高速道路でひっくり返す事故をしています。いずれも速度出し過ぎによる物です。避けられるなら山がちな道路は避けて、平野を走るべきです(中央道よりは東名自動車道)。

・直線バックについては構造を理解しないとうまくいきません。オススメは牽引免許取得で自動車教習所に通うことです。20年ぶりに教習所に行くと、以前のスパルタ教育から、サービス業に変身していて、グライダーインストラクターとしても教え方が勉強になります。


2016/10/02

ハンガリー、スロバキア、チェコの高速道路の Vigette ヴィニエット

今回のグライダー陸送で400km の間にハンガリー、スロバキア、チェコと3ヶ国の高速道路を通過しましたので高速道路の料金システム事情をレポートします。

ヨーロッパの高速道路は無料の国(ドイツ)もありますが、有料で事前にチケット(Vigette )の購入が必要な国があります。以前は助手席の窓の内側にステッカーを貼るシステムでしたが、次第にナンバーを登録してカメラで読み取るシステムに変わってきているようです。
こちらのサイトで EU 全体のシステムが見られます

ハンガリー
・車のナンバーを登録するシステム、カメラで読み込み違反者は罰金
・ガソリンスタンドで購入可能なので、ナンバーをレジで伝えて登録
・エリア、期間を登録するシステム。ハンガリー全土、ハンガリーの一部、などで料金が変わります(詳細は上記をクリックすると路線別に書かれています)
・以前はステッカーでしたが、現在はナンバー登録に変わったようで、ステッカーはありません

スロバキア
・10日、1ヶ月、1年の3種類
・ここもナンバーを登録するシステム、カメラで読み込み違反者は罰金。ステッカー無し
・ハンガリーからスロバキアに入国しようとすると、国境の手前に料金所みたいなところがあり、そこで購入可能
・オンラインでも購入出来るようです。
こんな感じで国境の手前に Vigette Label が購入出来る表示があります。

おそらく昔は検問所だったと思われるスロバキアとハンガリー国境

カウンターでナンバープレートを伝えて、期間を伝えます(今回は1ヶ月)

チェコ
・10日間有効、1ヶ月、1年の3種類
・国境の手前のサービスエリアのガソリンスタンドで購入可能
・ステッカーを運転席の内側に貼るタイプ
10日間タイプ 

チェコの高速道路のサービスエリア
フロントガラスに張り付け(助手席側)

2016 プレヨーロッパ選手権・チェコ選手権 まとめ


チェコから帰国して一ヶ月過ぎました。今回の練習の結果を纏めます。

5/22 day1 311km 7位 / 23機 得点率 83%
  ブルー。オーバータスク。スタートに失敗して最終スタート。失敗したと思ったが淡々と飛べたのは良かった。3rd レグでさらに前方が悪化して遅れたガグルに追いつけた。最終レグがグライドだけで終わってしまったので、谷を最短距離で渡り、wind shadow の丘に入れて、弱くなってもリフトを探し続けるべきだった(トップグループとの差)
 スタートが悪かった割にそこそこの結果だったことで、油断があった。私のいつもの失敗パターンの、良かったときの油断から来る失敗に入らないように気を引き締めたはずだが。。

5/27 day2 2h AAT 21位 / 23機 得点率 40%
 積雲。スタート時点までリフト条件が弱く、スタート後、低くなったが、ウエザーの回復に合わせてうまくリカバリー出来た。ここで自信を持ちすぎたと思う。
 残り1hは常にファイナルグライドのことを考えることが必要だが、なまじ途中の条件が良かったことで、前方が悪化している中でのギアチェンジができず、周りに流されて上がりきる前に前に出てしまった。しかもコース取りが悪く、ストリートの横をいってしまう(2014年のポーランドナショナルと同じルート取りの失敗をした)。弱くなったら、アンダータイムでもとにかくフィニッシュすること。先で上がるだろうと安易に考えず、0.2m/s でも上がること。高度が足りないときはフィニッシュマージンを削ったフィニッシュを考えること。結果フィニッシュに高度が足りず、フィニッシュに届かずリスタート。 やってはいけない大失敗の日。

5/28 day3 2h AAT 5位 / 23機 100km/h 得点率 74%
 積雲。前日の失敗を反省して、主体的に、とはいえ慎重に。上位陣と差が付いたのは悪かった2ndエリアの場所の選択だが、コンディションが悪いエリアなので慎重にガグルと行動する選択。3rd エリア手前で十分に高度を取って、慎重に3rdエリアもすすめた。とはいえ、ファイナルグライドは慎重すぎて高度余り、一緒にスタートした RX から 3分遅れ。

5/30 day4 1+45 AAT 5位 129km/h 得点率 96%
  積雲ショートタスク。予報では夕方サンダーストームが来る予報で早めのフィニッシュ。ガグル一斉スタートであまり差が付かなかったが、リフトでターンした最初の2旋回はどうしても遅れが出る。seeyou でみると旋回半径が大きいので、減速がまだ足りないように見える。

5/31 day5 1+45 AAT 12 位 92km/h 得点率 71%
  積雲ショートタスク。北側にサンダーストーム予報でタスクは南の平野をメインにタスクセット。スタート前ですでに北側にサンダーストームが発生していて北側はストームに食われてしまって対流弱めに見えていた。スタート前の上昇に失敗して一度上げたのに高い高度をキープ出来ず、スタートに失敗。(ストームで不安定なときはエリアによって悪くなることがあるので一律に上がりづらくなる)。仕方なく遅れてスタート。北がストームで悪いので北には行かないプランが頭に残ってしまっていたのと、南は明らかに対流は弱いのだが、リスク分散を考えるとガグルにつられて南の対流の弱いエリアに奥まで行ってしまい、下げてしまってリカバリーに時間ロス。ショートタスクでは一度失敗するとリカバリーが効かない(タスク時間が短いで)。一緒にスタートした EG は早々に南をターンして北のエリアで速度を稼ぎ 97km/h 87%(北のエリアが回復した)
 北のエリアの悪いイメージとして残ってしまったこと、リスク分散を考えて悪いガグルについてしまったこと(ガグルと分かれて悪いコンディションでも自分でターンするかどうか)が難しい判断だった

6/1 day6 1+45 AAT 11位 100km/h 得点率 69%
  同じくサンダーストームコンディション。スタートは成功。1st レグ順調だが、この日もガグルが悪い方向に行ってしまい、ガグルと分かれられず下げてしまう。(なぜかガグルは東の丘に行かず、低いエリアを飛んだのでリフトがまとまってない)
 低いトップで、リスクが高いときにガグルと分かれる判断が難しい

6/2 day7 1+45 AAT 6位 84km/h 得点率 88%
  上空が覆われてしまい悪化傾向。タスクも fix task から AAT に変更。
 1st Area はなんとか届いた後はコンバージェンスで良好。
 2nd Area は完全覆われてしまい dead air を飛び越えて、ストームフロントで上げ直してフィニッシュ。悪い状況になってもあきらめず、淡々と飛べたのはとても良かった。弱い中なのでとにかく慎重に前に進んだが、皆さん果敢に前に探しに行きます。
 ガストフロントの弱いところでの上がりはおいて行かれた。水をもっと抜くべきか、どの程度持っておくべきか、の判断がまだ決められてない。ここは要改善。




まとめ 改善点

・弱い中でのあがり
 1st, 2nd ターンで遅れる。速度が大きい。バンクが浅い
 弱いコンディションで特に顕著に差が出る(スタート前、悪くなってから)
 
・弱くなってからの水の抜く量?グライドと、上がりの兼ね合い

・練習不足を感じました。特に試合勘が悪くなっていて、状況の変化にオートマチックに体が反応出来ていませんでした(day2 のフィニッシュへのギアチェンジ)。年間2試合(1週間 + 1週間) + 自分の練習時間 が理想です(休み足りない。。)

事前のイメージトレーニングでの集中力の不足を感じました。自分のクラブの理事を引き受け、協会の理事を引き受けて、プライベートの時間を使う上で、本当に自分のフライトのために使う時間(飛ぶことと、飛ぶことを考えるための時間)を確保することと、確保出来た時間の中で集中しきることを考えます。

・トップが低く(1600m - 1800m)、地面が高い(400 - 600m) ので、使えるバンドが狭い(1000-1200m) 状況のフライトが続いたが、狭いバンド、低いトップでのレースの練習にはなった。
 
・上記コンディションのため、ガグルか、ソロか、の選択でリスクマネージメントの観点からガグルを選んでしまいがちになった。ソロの判断が難しい(不安定でリスクが大きい)。day2 で失敗したことで、day5, day6 がコンサバティブになりすぎてしまった。

・丘・谷からトリガーされるイメージが後半ようやく出来てきた(最初からもっとわかりやすいと思ったが、谷が短いため加速が悪いのか、谷風のイメージが感覚と異なる)

・丘のエリアなので、平野と異なり、フィニッシュマージンを気持ち的に減らしづらい(地面がうねっていて滑走路が見えづらい。)谷が南北で、滑走路が東西のため、最終旋回点が東から西向きにフィニッシュする際は南北の丘が結構プレッシャーになる。南から、ないしは北から谷沿いに最終レグが設定された際も、フィニッシュ手前に丘がある。地元勢は結構果敢に攻め、フィニッシュリング通過後そのまままっすぐ畑に降りるのがある。(ハンガリーではフィニッシュリングの最低高度を設定していたが、チェコではフィニッシュリングの最低高度は設定されていない)

・JS1 のグライドの良さを改めて感じました。高翼面荷重でドルフィンの状況ではそこまで差を感じませんが、水を抜いてからの一定速度のグライド(160-180km/h)では差が大きくなり、さらに水を抜くとさらに差を感じます。弱い日ほど、アドバンテージが出るイメージです。


まとめ できた、できていること

・失敗したときも、弱くなってしまったときも、気持ちが下がらず、淡々と飛べている

・クルーズバンドが低いコンディションでの速度選択、リフト選択の対応

・雲の選択を迷わずに選択出来た

・弱い状況で下げてしまってからのリカバリーも淡々と出来た(焦らなくなった。リフトさえあれば自信を持って上げ直せる)



練習不足を補うために、次なる練習プランを計画中です。